2007年06月26日 05:36
「もう年金なんか信用できない」
「年金なんかやめてしまえ!」
・・・年金に関わる仕事をしている社労士ですが、今はこうした怒りを鎮める言葉が見つかりません。
たぶん私も立場が違えば、同じように言っていたかもしれないからです。
しかしこれだけは言えます。
信用できないのは、年金じゃなくて、それを管理していた役人であり、
やめてしまえばいいのは、その人たちじゃないですか!
年金制度は老齢だけでなく、障害・死亡といったリスクを負った人や遺族をみんなで助け合う社会保障のしくみです。
私は思うのです。たとえ国が滅んだとしても、社会保障のしくみは滅びません。
これは理想論じゃありません。想像してみてください、遥か原始時代を。
洞窟に住み、野生動物を狩って生活していた人々だって、捕らえた獲物は自分と家族だけでなく、老人や怪我をして狩りに行けない者にも分け与えていたことでしょう。
社会保障は制度として法律で定めるまでもなく、人が集団で暮らす中で自然発生するものなのです。
やがてそれが食べ物ではなくお金に代わり、洞窟から集落になり国になって現代に至ります。
社会保障を受ける者と与える者同士の顔が直接は見えなくなり、その形も量も見えなくなりました。
マンモスを捕らえても一人では食べきれなかったものを、変幻自在のお金に代えたことで一人でいくらでも持つことができるようになったりました。
助け合うことに価値があった社会保障は、私利私欲で揺らぎ始めます。
国の事業は損得勘定ではなく、大きな理想を掲げてよいと思います。尊厳ってやつです。
「納めた保険料以上の年金が受けられます。決して損はありません。」
・・・ってなことを一国の大臣や総理が言うから、信用できなくなるんだよ。わかってないね。
少子高齢化で年金は減り、逆に保険料負担は増える。誰でもわかっていること。だからウソにしか聴こえない。
社会保障の目指すところ、相互扶助や所得再分配として理解を得るべきなのに・・・
私ならこう言います。
「年金は公平ではありません。多く払った人を優遇はしますが、収入のない高齢者や障害者を救うことが優先です。」
実際、そのつもりで年金を払っている人も少なくないのですから・・・。