
「ぁ、ぁ…」何か喋ってるようだけど、言葉になってなくて聞き取れない。
母と同じように半身麻痺しているのだと察した。
手を伸ばしてボタンを押そうとしている爺さんに
「下へ行きますけど、いいですか?」
「ぅ、ぅ…」とうなずく爺さん。ボタンを押す私。
1Fへ着いて扉が開く。爺さん、車椅子の向きを変えるが途中で扉のふちに引っかかってる。
「ああ、失礼。ちょっと動かしますね。」
「ぉ、ぅ…」
車椅子を押してエレベーターから降ろしてあげて、私は出入口へ向かう。
会話になってないので若干不安が残る。これでよかったのかなぁ???
そう思って振り向くと、爺さんが大きく片手をあげて感謝の意を示してくれた。
その動きと表情は力強く、さっきまでの介護老人には思えなかったなぁ。
一瞬にして想像力が膨らんで、その人生を垣間見たような感覚。
かつてスポーツ選手か粋な職人か・・・ま、勝手な想像ではあるのだが、
私は今日すごくいいものに出会った気がする。
清々しい気分になりました!
そうですね。爽快な気分にさせてくれた爺さんでした。